ダイヤを磨く

結婚指輪の磨くダイヤモンドの主になる面の理想の角度と寸法は、はっきりしています。そこでアイデアル・カットの理論どおりにまず磨いてみます。はじめは宝飾用としては使えない工業用として売られているダイヤモンド原石を手に入れて、試し磨きをしてみます。「完壁に磨かない」のが現在のダイヤモンド業界なのではあるが、「完壁に磨く気になっても、完壁に磨けない理由」がダイヤモンドには隠されていた。「磨けない」というよりも、「ダイヤモンドが磨かせない」とも感じられるほどの、それは強い意志を持っている。ダイヤモンドは、この地球上で最も硬い物質である。これは、誰でもが知っている。最も硬いものを磨くのには、そのダイヤモンドそのものの粉末でしか磨けない。これも分かっている。しかし、結婚指輪で使うダイヤモンドは、なんとすべての部分が同じ硬さではないのである。最も硬い上に、さらに硬い部分がダイヤモンドには隠されています。完壁に磨く心で立ち向かっても、「少々の心では、しかも、物欲に駆られた心などには、決して征服されない」という程の強い意志が最も硬い物質、結婚指輪のダイヤモンドの中にはあります。

ダイヤモンドの原石の面となる部分には、必ずその面に対して固まっていく時に出来る結晶がある。表面に形が幾重にも重なって、結晶となって固まっている。たとえば、理想的な八面体のダイヤモンド原石でいうと、その各々の面の中にいくつもの、固まっていく過程でできた結晶の跡が残っている。この結晶の部分は「節」のようにさらに硬い部分になっており、さすがのダイヤモンド粉末も歯が立たない。しかも、面に正対してできている結晶は、木にできる「節」のように表面ばかりではなく、ダイヤモンドの中に、しかも目に見えないまま、ずっと入っている。この結晶に対して磨こうとしたら、さすがのモーターで回転する磨き盤も永遠にダイヤモンドを磨き上げることはできない。磨き盤には筋目が入り、傷み、ただひたすら盤のほうが削られて使えなくなってしまう。つまり結晶との正対を避けなくては、ダイヤモンドは磨かさせてくれないのである。したがってまず最初に研磨盤に当てるダイヤモンドの角度が大変重要です。